ドイツの財政政策は吉と出る?それとも…

債券投資家にとって財政支出拡大は、国債供給の増加を通じて利回りの上昇をもたらすだけでなく、政府が成長率の押し上げに取り組むとのムードが広がり、市場がそうした経済環境を織り込み始める兆候でもある。エコノミストは長年、ドイツを筆頭とする緊縮財政路線の国に対し、財政支出による内需拡大を求めてきた。ドイツ高官はロイターに対し、気候変動対策の経費を賄うため新規国債を発行する可能性を示した。また、緊縮財政を10年間続けてきた英国では、ジョンソン新首相が欧州連合(EU)離脱を前に財政支出を拡大すると約束。フランスとスペインも財政支出を増やしており、イタリアは財政赤字の拡大容認をEUに働き掛けている最中だ。2014年このかた財政均衡を約束してきたドイツが方向転換するとなれば、とりわけ大きな変化となるため、実現を疑問視する人も多い。しかし、実現すれば影響は甚大だろう。ドイツが国債を増発する可能性があるとの報道が続いたため、16日の金融市場では世界各国で債券利回りと株価が上昇した。もっともメルケル独首相は今のところ、財政刺激策を発動する必要はないとしている。

引用元:https://jp.reuters.com/article/germany-finance-idJPKCN1VC0EI

こちらのニュース記事のタイトルは「債券利回りの低下に終止符も、ドイツが財政拡大示唆」。一見すると普通に読み飛ばしてしまいそうな記事に思えないこともないですが、私個人の意見としてはこの中にかなり市場に混乱を及ぼす要素が含まれている可能性が高いと思っています。ドイツは財政拡大の為の手段として債券供給量を増やす可能性があるとのことで、債券投資家はこの動きを楽観視しているのですが、“果たして本当に楽観視出きるのか?”ということです。ここからは少し当たり前過ぎることを尋ねますね。「何で財政拡大をしてまで成長を望むのか?」「そもそも株式投資家の理想の市場とは?」「債券投資家と株式投資家の目的の違いとは?」この疑問について考えると、投資対象が違えば理想像も異なるし、受ける影響も180度変わってくるのではということなんです(そもそも債券投資家と株式投資家の目的が違うから、違う視点を持たなくてはならないということ)

なぜドイツは財政拡大を図らなくてはならないのか

上で挙げた3つの疑問の1つ「何で財政拡大をしてまで成長を望むのか?」、もっと言うと見出しにも書いたように「なぜ財政拡大を図らなくてはならないのか」。このために債券供給という手段を取るのであれば確かに債券利回りの向上が見えてくるわけで、これを投資対象とする者にとっては喜ばしい環境になりますね。しかし、このような材料が出てこなければ気づくことが出来ないほど景気後退を実感しにくい環境であれば(それが株価に反映されていないのであれば)、今はものすごい割高水準にあるということが想定され(あくまで仮定であり個人的な見解)、それが表面化した今は株式投資家にとっては最悪な環境になりうるということです。

「ドイツの株式市場なんて知るかよ」と思うのであれば国内株式市場で考えてみてください。株価水準は中長期的に見れば高い水準にあり、多少の波はあれど好調であると勘違いする人も出てくるはずです。しかし、外部環境を考慮したらそれがどれだけ割高であるかについて気づくことができるし、アベノミクス相場で上場していた頃よりも環境自体が悪化していることは分かるはずです。結局何が言いたいのかと言うと、「外部環境への変化が見られた時に、今後を考える前に足元を見直す必要がある」ということです。もっと言うと、財政拡大の為の債券供給というのは投資家が間接的に景気上昇を手助けする手段であり、リスク市場からの撤退を招きかねないということにも繋がってきます

そもそも株式投資家はどのような環境を望んでいる?

「こんな基本的なこと聞くなよ」と思われる方もいるでしょうが、株式投資家にとっての理想は株価が上がり続ける環境ですよね?上がり続けることはないので100歩譲って株価が上昇する環境について考えてみましょう。仮に今回取り上げたニュース記事を読んで喜んでいるような株式投資家は勝ち続けるのは難しいです。債券投資家が楽観視しているのは“政府が材拡大”に動くことではなく“財政拡大の為の手段として債券供給を選ぶ可能性がある”ことに過ぎません。つまり、これは株式投資家にとって特に嬉しくも悲しくもないことなんですね。基本的に債券利回りの上昇はリスク市場からの撤退(資金流出)・ボラティリティの低下を招く可能性を高めるだけであり、それとは反対に財政拡大が実現するとなると経済拡大・成長を見込めそれが株式市場にも良い影響を与えるかもしれないですね。後者はあくまで可能性の話ですが、前者は必然的な流れと言うことができ、つまりどちらかと言うと株式市場からすると短期的にはマイナスの側面が強い可能性が高いと判断することが出来ます

 

メディアの情報に惑わされるな

今回の記事でもあれこれと書いてきましたが、結果何が言いたいのかというとメディアの情報をしっかり分析してくださいということです。このような記事を読むと数ある投資家を一括りにしている気がしてならず、今回の場合で言うと債券投資家の考えを世の中の投資家全員の総意であるかのように取り上げているように思えてしまいます(自分だけかも)。まずは自分がどのフィールドで戦っているのか、それを動かすものの概念と仕組みをしっかりと分析することが出来れば今後の市場への見方も多少は変わってくるのではないかと思います

ブログ購読登録はこちら

1,788人の購読者に加わりましょう