金融緩和で恩恵を受けるのは安全資産。株価はさらなる下落相場へ?

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世界で最も安全な資産は日本円でもスイスフランでもなく金!?

安全資産にも甲乙があり、昨今は金が最も優位に立っている。貿易戦争と地政学的緊張の高まりでスイスフラン、円、さらには一定程度でドルも安全資産としての魅力が高まっている。しかし最も輝いているのが金だ。金は3カ月弱で15%近く値上がりし、1オンス=1500ドル(約16万円)近辺と約6年ぶりの高値で取引されている。ドル建てで取引される金はドル相場と逆相関の関係にあるだけに、ドルが堅調に推移する中でのこれほどの値上がりは目を見張るものがある。金の保有コストはかなり重いが、投資家はこのごろは安全資産である国債にも保有コストを求められる。景気後退となれば政策金利は一段と引き下げを余儀なくされるだろう。一部の政策金利は既にマイナス圏に沈んでいる。通貨戦争の懸念のため金への支出はなおさら価値あるものに見えるようになっている。手に負えない通商紛争は、あからさまな通貨切り下げ競争を自制する時代に幕を引いたように見える。通貨高による輸出への打撃と戦うと口にすることが再び時流となりつつある。流れを変えたのはトランプ米大統領だ。同氏は7月、中国と欧州が為替を操作しており、米国は対抗すべきだと宣言した。

引用元:https://jp.reuters.com/article/gold-breakingviews-idJPKCN1VC0AG

米中貿易摩擦や全体的な景気後退懸念など市場を揺るがす問題が数多く存在している今の状況を受けて、リスクオフの動きが高まっており株式市場からの資金流出、そして安全資産への移行が目立つようになってきていると思われます。具体的な例としては、株高であるのにも関わらず出来高が著しく減少していること・円高進行・債券利回りの低下が挙げられます。上の記事では金(ゴールド)の価格上昇が加速しており、今では最も安全な資産として注目を受けているというものを示したデータのようなものです。安全資産として一般的に思い浮かべるのは債券(特に国債)・日本円・スイスフラン・金、さらに最近ではビットコインも安全資産としての役割を担うのではないかとの見方も出てきていますね。その中でも特に金の注目度が急上昇しており、有事のドル買いに代わり“有事の金買い”という言葉まで飛び交うようになっていますが、それを裏返すと現在の経済環境が相当に悪化しているということになりますよね

   

金融緩和を実行する目的とは反する形で金相場はさらに高騰する!?

参照:Trading View

こちらは昨年9月から現在に至るまで、約1年間の金相場の推移を示したものになります。1年前には1オンスあたり1150ドルで推移していたことが分かりますが、その後の1年間特に直近2ヶ月ほどで急上昇しており、今ではその価格が1500ドルを突破しています

安全資産である金とリスク資産である株式(株価)は逆相関関係にあるため、株式市場へ資金が流入することになると必然的に金市場からの資金流出は免れませんしその逆についても然りです。今後の展開を考えると、景気後退懸念・貿易摩擦によりリスク回避が予想されるので金相場はまだ上昇の道半ばと考えるのが妥当ですね。景気後退からの抜け道として利下げ(米国)や財政政策としての債券供給(ドイツ)が可能性としてありますが、これらについても数日・数週間で成せるものではなく、再びリスク市場が活発化するには多くの時間が必要になると予想されます

トランプ氏のいら立ちはさらに強まるかもしれない。武内良樹財務官は今月、必要であれば市場介入の用意があると示唆し、スイス国立銀行(中央銀行)のジョルダン総裁は金融緩和を一段と進める可能性に言及した。対照的に、金相場の上昇を止めようとする者はいない。

引用元:https://jp.reuters.com/article/gold-breakingviews-idJPKCN1VC0AG

昨日23時にもFRB議長のパウエル氏も示したように、またスイス国立銀行のジョルダン総裁も言及しているように世界経済全体が停滞気味であることを受け世の中では金融緩和(利下げ)への動きが強まってきています。基本的に利下げをすることで企業活動・個人消費の活発化を引き起こし結果的に株価の上昇要因と考えられています(教科書的には)。しかし、上の記事の中には「金相場の上昇を止めようとする者はいない」と書いてあり、この内容については基本的な経済の仕組みに反しています。ここの部分に疑問を持った方がどれほどいるかは分かりませんが、金融緩和をすることで市場に出回る資金量は増えますし、ある意味でリスク市場を活発化させるための政策なわけです。しかし、金融緩和からリスク市場の活性化にはいくつものフローがあり、それにかかる時間(タイムラグ)を考慮すると、市場に出回った資金はどこに入り込むのかということです。それが金になります

   

金融緩和は単なる株価大暴落の引き金になってしまう?

外国為替市場では、円とスイス・フランの上昇が目立つ。12日の円相場は1ドル=104円台が目前に迫った。一方、アルゼンチン・ペソが急落するなど、新興国通貨は軟調だ。債券市場では先進国の国債が買われ、米長期金利の指標である米国債10年物の利回りは16年10月以来の低水準となった。ドイツやフランスの長期金利はマイナス圏に沈み、史上最低を更新している。

引用元:https://www.msn.com/ja-jp/money/news/安全資産に買い殺到=金は6年4カ月ぶり高値/ar-AAFKWX5#page=2

これまで説明してきたような金への注目・価格上昇、さらに安全資産と言われる日本円・スイスフランの買い入れ、リスク資産からの資金流出に伴う国債買い入れ・金利急低下からも分かるように世の中では急速にリスク回避の動きを強めています。これに対し金融緩和に踏み切ったり、財政支出を支えるべく莫大な債券を供給して国債利回りの上昇を目指す動きがみられます。しかし、その恩恵を短期〜中期で受けることが出来るのは債券投資家であり株式投資家ではありません(それについては昨日記事にしたのでお読みください)。

つまり、今のタイミングでの金融緩和は安全資産へのさらなる資金流入の手助けになるということに過ぎず、本来目的とする経済拡大のフローに従う流れではないということになります。NYダウや日経平均株価の長期チャートを見ても天井を打ちつつあり、これがファンダメンタルズ要因(貿易摩擦など)に加えてリスク回避を強める要因となる日は近いかもしれないですね

   

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