【ニュース解説】1.9兆ドルを投じる経済政策の内容を踏まえて今後のシナリオを組み立ててみよう

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経済

バイデン大統領が実施する経済対策について

今回解説するのは「バイデン次期米大統領、1.9兆ドルの経済対策案公表-来月第2段」という記事について。まずはこちらの記事を流し読みすることを推奨します。このブログでは記事内容についての徹底解説を行うので、現時点で内容を全て把握しておく必要はありません。

しかし今後自分で記事を読む際には、単に流し読みをするのではなくてこのブログで解説している手順で理解を深めていくことをオススメします。個人的な考えにはなりますが…【目を通して読んだ気になっている人=論外】【記事内容は完璧に把握してアウトプットまで出来る人=2流】【記事内容を把握した上で今後のシナリオを自分なりに立てることが出来る人=1流】であると考えています。

僕自身、普段は為替トレーダーとして生計を立てていますので、上で区別した1流〜3流についても主には投資家に焦点を当てて書いています。しかし、これは投資家に限らず普段ニュースを読むべき人:営業マンなどについても同様のことが言えると思います。このブログでは毎日ニュースをピックアップして細かく解説をしていくのでぜひ参考にしていただきたいと思います。

まずはタイトルから全体像を把握する

今回ピックアップするニュース記事のリンクは記事冒頭部“こちらの記事”をクリックしていただくとアクセスすることが可能になっています。実際に記事に飛ぶと目に飛び込んでくるのは太文字のタイトルになります。

どの記事でも共通して言えることですが「タイトル=記事全体の内容を要約したもの」になりますので、まずはタイトルにはしっかり目を通して「この記事では◯◯について書かれているんだな」と何となくのイメージを持つようにして下さい。これに関しては僕が言わなくても皆さん自然に出来ていると思うので問題ないと思います。

では早速ですがタイトルを見てみると…「バイデン次期米大統領、1.9兆ドルの経済対策案公表-来月第2弾」と書かれていることが分かります。この部分から読み取れることはいくつかあると思いますので…まずは続きを読む前に自分自身で考えてみて下さい。

この部分だけ読んで僕がイメージすることは…「バイデン大統領の誕生」「1.9兆ドルの経済対策が行われる」ということ、ここまでは誰でも問題なく連想できるというよりもタイトルに書かれていますからね。必要なのはプラスαであり「1.9兆ドルの具体的な使い途」「経済対策第1弾・第2弾(来月予定)の存在」がその一例になります。

特に投資家にとって…このプラスαを考えるか否かが成功と失敗の分かれ道になるのは間違いありません。記事に書かれている情報のみを納得したとしても、それは世の中の投資家全員が知っている材料である:鮮度に欠けると考えるべきです。つまり、どこで他の投資家との差別化を図るのか(優位性を持つのか)という問題が出ますが、それを解決するのが「正しいニュースの読み方」になってくるわけです。では…タイトルからある程度の連想が出来たところで記事本文の解説に移っていきたいと思います。

経済対策第1弾の正体は「新型コロナ対策」であると判明

バイデン次期米大統領は14日夜、新型コロナウイルス禍に対応する1兆9000億ドル(約197兆円)規模の追加経済対策案第1弾を打ち出し、早急な成立を訴えた。規模が大きい上、州・地方自治体支援や最低賃金引き上げなど民主党の優先項目を盛り込んでおり、共和党の反発を早速招く恐れがある。

引用元:Bloomberg

上の引用分は記事の第一段落に該当するものです。先ほどタイトルから欲しい情報としては「経済対策第1弾および第2弾の具体的な内容」を挙げましたが…記事冒頭で早速“第1段の内容”については触れられています。具体的には…

1.9兆ドルを投じる大規模な経済対策第1弾は「新型コロナウイルス」への対策であることが触れられています。残念ながら…ここで「なるほど」「予想通り」と思ってしまった方はダメダメですね。ではお聞きしますが「1.9兆ドルの使い途」は?これについてはこの段階では全く答えることが出来ませんよね。

ブルームバーグは非常に簡潔に事実が書かれている印象があるので…最後まで記事を読んでも書いていないかもしれません。書いていなかったら判明するまで自分で調べるのみです。この1.9兆ドルがどのようなものに投じられるのかで、需要が拡大する業界・注目を浴びる業界が浮かび上がり情報戦を優位に進められる可能性があるので絶対に省いてはいけない作業であることが分かりますよね。

ここまでで…タイトルと本文1段落目まで目を通しました。見えてきたのは「バイデン次期大統領は新型コロナ対策を最優先すること」「コロナ対策で1.9兆ドルを投じること」「来月には早くも経済対策第2段が打ち込まれること」の大きく分けて4つです。では、次の段落に移っていきたいと思います。

経済対策第2弾はバイデン氏の大本命である気候変動対策

バイデン氏はデラウェア州ウィルミントンで演説し、「われわれは今、行動しなければならない」と呼び掛けた。その上で、来月の上下両院合同会議で第2弾のより広範な経済回復プランを公表すると述べた。政権移行チームによれば、同プランにはインフラや気候変動対策など一段と長期的な開発目標向けの資金が含まれる。

引用元:Bloomberg

こちらは記事本文の2段落目に該当する部分になりますが…ここでは“来月公表される経済対策第2弾”の内容について簡潔に触れられています。記事によると第2弾の目玉は「インフラ」と「気候変動」対策であると書かれています。これらの分野に関しては、大統領選挙以前から言われていたものですので大方は予想通りとなっています。

つまり、ここでの材料は基本的には既に織込み済みとなっておりますが…発表される具体的な政策内容によっては関連銘柄への注目が大きくなると思われます。第2弾に関しては記事にあるように長期に渡る政策となりそうなので、今のような政策初動段階で仕込めるものは仕込んでおきたいところですね。ここでも具体的な第1弾・2弾の資金の使い途については書かれていませんが…バイデン大統領が考える経済政策の概要については紹介されていました。

  1. 直接給付金を昨年12月承認の600ドルから計2000ドルに増額
  2. 失業保険給付、9月まで400ドル上乗せ
  3. 州・地方自治体への支援金3500億ドル
  4. 最低賃金の時給15ドルへの引き上げ
  5. 学校再開支援1300億ドル
  6. ワクチン・コロナ検査などに1600億ドル
  7. 賃貸・小規模家主支援300億ドル
  8. 保育サービス業者に250億ドル
  9. 食料支援拡充
  10. 子育て税控除拡充
  11. 傷病・家族休暇拡充

となっています。これらは経済政策第1弾・2弾とは別となっています。今回の記事解説とはあまり直接的な関係がないので詳しくは触れませんが…この類の発表があったら“素直に期待材料だと捉えないこと”が大事です。多くの経済対策でもちろん救われる部分も多いのですが、このような資金はどこから捻出しているのか。このような部分について考える必要性も出てきます。

本当に重要な要素は目に見えない

バイデン氏の経済対策案の規模1兆9000億ドルは、先月成立した超党派の追加経済対策の2倍余りで、昨年3月に成立したコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES)法の規模をわずかに下回る。

上院勢力は与野党50議席ずつだが、失業給付や最低賃金などの措置は「財政調整措置」として知られるプロセスを用いれば、上院議長を務めるハリス次期副大統領が決定票を投じることで、単純過半数で可決可能な項目と考えられる。一方で、州・地方自治体支援やワクチン向け資金などの上院通過には60の賛成票を要する可能性があり、民主党はプログラムを調整するか一部共和党議員の支持を取り付ける必要がありそうだ。

次期政権当局者は経済対策の規模について、対策が過度になるよりも、不十分な場合のリスクの方がはるかに大きいと説明した。バイデン氏は先週、歴史的な低金利の下、赤字財政支出を活用して景気を浮揚する余地が生じているとの見解を示した。

引用元:Bloomberg

先ほど、「多くの経済対策を正面から期待材料として受け取るな」と書きましたが…まさにその内容に類似することが書かれていました。バイデン次期大統領は「歴史的な低金利の下、赤字財政支出を活用して景気を浮揚する余地が生じている」と話しています。

確かに現在環境状況を考えると…コロナ対策は必須ですしコロナ禍で大打撃を受けた経済を回復させるためにはある程度の支出は欠かせません。金融市場に限定して書くならば…今はまだ実体経済の回復とは程遠い状況にあるのですが、株価指数や為替水準は極めて高い水準にあると考えられます。

なぜこのようなことが起こってしまったのかについてですが…理由は2つあり「リーマンショックでの教訓」と「次々に発表される材料への期待」であると個人的には考えています。リーマンショック時には株価は大暴落し為替も超円高進行をしていますが、その後はいずれも回復し高値を更新しています。

つまり、「リーマンショックでさえ乗り切ることが出来た」という歴史を見て今後を占っているのが世間です。なので、リーマンショック時とは異なり今回は金融商品の回復・高値更新が早かったと考えるべきです。しかし、蓋を開けてみるとコロナは解決していないどころか米大統領選挙も100%の決着を迎えていません。

この記事では1つの記事を取り上げて具体例のような形で解説していますが…これは今回だけに限らずほとんどの記事を読むときに意識しなくてはなりません。個人的な体感ベースで話すと…99%の記事には矛盾があり、これを見つけることが他の投資家との差別化に直結すると思っています。

今回の記事を例に挙げると「これから実施される大規模な経済対策を好材料と捉えて今から動き出すのが99%の負け組投資家」であり「経済対策に関する材料は既に織込まれていると判断し、これからのシナリオを場合わけして考えるのが1%の勝ち組投資家」であるということです。

重要でない部分は流し読みでOK

バイデン氏はまた、「選挙運動の際に私が話したように、恒久的な投資に当たっては、公平な税負担の確保を通じてその資金を賄う」との考えを表明。「米国での雇用機会を海外に移転する企業への税制上の抜け穴や、米企業の連邦所得税逃れを許している抜け穴をふさげば、誰も罰することなくそれを実現することができる」と語った。こうした発言を受けて、株価指数先物は下落した。

バイデン氏の政権移行チームは声明で、「次期大統領の1兆9000億ドル規模の『米国救済計画』は意欲的な内容だが実現可能であり、米経済を救済し、コロナ禍を収束させるだろう」と強調した。

民主党のペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は14日の声明で、バイデン氏の計画を称賛し、早急にその成立に向けて取り組む方針を示すとともに、共和党からの支持にも期待を表明した。

国家経済会議(NEC)委員長として次期政権入りするブライアン・ディーズ氏はバイデン氏の計画について、「米国が陥っている経済状況の緊急性と、今すぐ行動が求められていることを反映した内容になる」とインタビューで発言。「団結を重視しなくてはならない。今のように試練と困難の時であっても」と語った。

こちらで今回紹介したい記事内容は全てになります。僕個人的にはこの部分に特に重要な部分は見当たらないので深く言及することはありませんが…最後に“1.9兆ドルの具体的な使い途”についてまとめておきます。

1.9兆ドルを投じる経済対策はコロナ対策であることは分かりました…しかしコロナ対策と言っても「コロナ開発費用」なのか「コロナワクチン摂取代」なのか「国民に対する特別給付」なのか。単にニュースを読んでいる人にとっては大した違いではないのかもしれません、というのもこれはアメリカの話であって日本は関係ないからです。

アメリカ国民に給付金が配られたからと言って全くどうでも良いことですよね。しかし僕たち投資家にとっては非常に重要な部分なんです。仮にそう思っていない方がいれば、これが重要だということに今日気づけたので問題ありません。

どのような使い途であるかで今後の金融市場の中で見るべきポイントが大きく変わってきます。ワクチン開発費用であれば株式の関連個別銘柄を抑えるべきです。開発はどこまで進んでいるのか、上手く開発は進んでいるのか、株式市場はどこまで織込まれているのか…などなどです。これに関してはニュースの解説とは関係がない部分ですので、また違う記事で詳しく解説していきたいと思います。

最後に「バイデン大統領による経済対策第1弾の具対的な内容」についてのまとめに移ります。

大規模経済対策第1弾の内容と1.9兆ドルの内訳について

最後にコロナ対策費用1.9兆ドルの内訳(現時点で分かっているもの)を箇条書きで列挙していくので、ぜひ今後の参考にしてみて下さい。

  1. 国民1人あたり1400ドル(約15万円)を追加給付
  2. 失業保険の週400ドルの上乗せ
  3. 検査の充実に500億ドル
  4. ワクチン摂取に200億ドル
  5. 子育て世帯への減税
  6. 最低賃金を15ドルへ引き上げ

具対的に各公約にいくらの捻出をするのか不明な部分もありますが…とりあえず第1弾の内容は以上になります。1月のジョージア州上院選決選投票の結果を受けて、バイデン氏の民主党が上下院ともに過半数を取ることになりそうです。

しかし、その差はわずかなものになっているため政権運営は困難であり法案成立にも多小の時間がかかることを考慮しなくてはなりません。以上が今回のニュース解説になりますがいかがでしたでしょうか?1つの記事から得られる情報・考えられるシナリオは数多くあるため、ただ単に流し読みをするだけでは非常に勿体無いですよね。

このような形で毎日ニュースをピックアップして解説をしていくので読んでいただければ幸いです。また、何か解説して欲しいニュースなどがあればコメントやTwitter・Instagramでのメッセージを受け付けているので、そちらの方からよろしくお願いします。

コメント

  1. […] 限定的ではあるのですが…いわゆる“ご祝儀相場”と呼ばれる株・為替の上昇相場が見られるかもしれません。僕も先日ブログで書いたように、バイデン氏はここから大きな2つの経済政策を実施する予定です。1つ目は「1.9兆ドルを投じる対コロナ政策」であり2つ目は「インフラ・気候変動問題に関する政策」を予定しています。これに関して具体的に書いた記事はこちらになりますので、まだ読んでいない方は併せてお読みください。 […]

  2. […] […]

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