景気後退サイン「炭鉱のカナリア」とは

炭鉱のカナリアは、何らかの危険が迫っていることを知らせてくれる前兆をいいます。これは、有毒ガスが発生した場合、人間よりも先にカナリアが察知して鳴き声(さえずり)が止むことから、その昔、炭鉱労働者がカナリアを籠にいれて坑道に入ったことに由来するものです。

引用元:https://www.ifinance.ne.jp/glossary/souba/sou339.html

株式投資や為替取引などという形で金融市場へ強い関心がある方であれば聞いたことがある方も少なくはないとは思いますが、最近では頻繁に景気後退というワードを耳にするようになりましたので、それに関連するものとして今回は“炭鉱のカナリア”について解説していきたいと思います

大まかな説明に関しては記事冒頭部分に掲載していますが、炭鉱のカナリアとは“何かしらの危険が迫っていることを知らせてくれる前兆”のことを指します

昔、炭鉱で働く人にとってはカナリアは重要な存在として知られていました。というのも、炭鉱では有毒ガスが発生することが多く、それを一早く察知するのがカナリアであり、カナリアが鳴き止む時というのは有毒ガスが発生した時つまり環境の変化を示すサインとなっていたからです。これを投資の世界にも置き換え、個別銘柄の株価変動だけでは読み取れない変化を炭鉱、そして景気変動に影響を与える指標やサインを有毒ガスに置き換えているといった背景があります

では、なぜ突然炭鉱のカナリアについて触れたのかというと先日NYダウが800ドルを超える下落をした理由がこれに密接に関係しているからです。最近では米中貿易摩擦・トランプ砲などといった問題が複数あり相場に影響を及ぼすことが多いですが、その際の暴落についてはこれらの諸要因に加えて“米長短金利の逆転”が話題となりました

炭鉱のカナリアが鳴き止む理由の1つとして長短金利の逆転が挙げられることが多いので、本格的に長期相場の天井が近づいているのではないかということで今回は紹介しました。数ヶ月前にはNYダウ・日経平均株価の長期チャートが天井を打ちつつあるといった内容の記事を更新していますが、これはあくまでテクニカル分析に基づくもので推測に過ぎませんでしたが、今回の金利逆転によりそれが現実味を帯びる形になったということです

   

長短金利が逆転することによる金融市場への影響とは

参照:日本経済新聞

こちらは米国債券のイールドカーブ曲線を示したグラフになります。普段デイトレードやスインストレードなどの短期取引をメインにしているトレーダーにとっては馴染みの薄いものかもしれないですが、FXや株式の長期投資をメインにしていてファンダメンタルズ要因を重要視している投資家にとっては興味深いものになるのではないでしょうか?(イールドカーブについては経済学の授業でも取り上げられるはず)

まず初めに、イールドカーブ曲線(グラフ)の説明・見方を簡単に説明しようと思います。グラフは縦軸に最終利回り・横軸には債券の残存年数を取っているため、一次曲線が右肩上がりであれば債券残存期間が長くなればなるほど利回りが高くなることを示しており、反対に右肩下がりの曲線であれば残存年数が長くなるほど利回りが小さくなっていることを示しています

この仕組みを理解すると、通常であれば満期までの期間が長いほど価格変動リスクが大きくなるので利回りも高くなることがお分かりいただけると思います。なので、右肩上がりの通常のイールドカーブを順イールド・右肩下がりのものを逆イールドと呼ぶことが多いです

今回の長短金利逆転については、米国10年債券(長期)の利回りが2年債券(短期)のそれを下回ったことを示しているので、上のグラフに示すと逆イールド現象が発生したということになるわけです。では、なぜ長短金利の逆転が景気後退サインとして見られているのかについて軽く触れていきたいと思います

逆イールドカーブがどのような局面で発生する傾向にあるかと言えば、短期的な景気は良いけれど長期的な景気低迷をするだろうと投資家が判断する場面などが挙げられます。景気が後退すると利下げが予想されるため、投資家は長期債を買う傾向にありますね。債券価格と金利は逆方向に動きますので、投資家が長期債を買えば買うほど長期債券利回りは低下していき、その結果発生するのが今回のような長短金利の逆転というわけです

   

逆イールドカーブの発生は景気後退ではなく市場予想に過ぎない

ここまでの解説を読んでいただくと、長期金利が短期金利を下回る現象(逆イールドカーブ)は、今後景気後退する可能性が高いと判断する投資家が増加傾向にあるということが分かると思います

見出しにも書きましたが、逆イールドカーブの発生は景気後退を示しているのではなく市場がそのように予想しているに過ぎないのです。2ヶ月ほど前に指数チャートを分析して中長期チャートのトレンド転換予想をしたのも、今回の逆イールドカーブで景気後退が現実味を帯びているといったのも、景気後退を私自身が肌で感じているのではなく市場の動きを見て判断しているだけなんです

もちろん、投資家の動きは経済状況に基づく部分が大きいので一定の信憑性はありますが、景気後退確定とは到底断言出来るものではありません。しかし、実際に長短金利が逆転している状況を受けたらそのリスクを考えなくてはならず、それはこれまでにも幾度となく触れてきた株価変動の仕組みが関係しています

株価変動の仕組みに留まらず、世の中の価格決定の仕組みに直結するものなので、皆さんに取っては分かりやすい仕組みかとは思います。“需給関係”を思い出してください。株価であれば買い手が増えれば上昇しますし、オークションのような入札式のものでは価格が跳ね上がる状況がしばしば発生しますがそれは需要が大きいからです。ここで1つ“コーラ”の例を挙げたいと思います。普段であれば500mlのコーラであれば150円程度で手に入りますが、もしこれが1000円だったら買いますか?ということです

これが実際にはあり得るんですよね。良いおもてなしの代表格であるリッツ・カールトンというホテルのルームサービスでは1000円のコーラを飲むことが出来るそうですが中身はコンビニで売られているものと全く同じものです。しかし、リッツ・カールトンというブランド・各種サービスなどを受けた上でこの価格であれば誰一人文句を言う人はいないそうです。つまり、このホテルに宿泊する人全てに認められているということになりますね。ここで変なクレームを入れてもそれは誰が受け入れてくれるんですか?みたいな状況になってしまいます

話は若干逸れてしまいましたが、今の世の中は悪い意味で多数決の原理に支配されている側面が非常に強く、特に投資の世界においてはこれが色濃く反映されています。周りの投資家心理を読み解かなくてはなりませんし、決してその流れに逆らうことがあってはいけません。今回の長短金利の逆転というのは、景気後退を懸念する投資家が増加傾向にあることを示しており、それが皆さんの不本意のものであったとしても残念ながら従うしかないということです

  

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